「野菜は足りてるはずなのに、夕方になると体が重い」。先日、健診で貧血を指摘された友人にそう相談されました。サラダもスムージーも欠かさない人です。
管理栄養士の西村奈緒です。2人の子どもを育てながら、家庭の食事と栄養について書いています。野菜をしっかり食べていてもミネラルが足りない人は、珍しくありません。私自身、20代の頃は鉄不足でずっとだるさを抱えていました。理由がわかると、対策はそれほど難しくないんです。
なぜ「野菜は食べてるのに」足りないのか
ミネラル不足の原因は、野菜の量そのものより、食事全体の中身にあります。
まず、加工食品や精製された食品が増えると、ミネラルは目減りします。精製の過程でそぎ落とされるうえ、加工食品に使われるリン酸塩には、ミネラルの吸収を妨げる働きがあるからです。コンビニ食やインスタント中心の週は、カロリーは足りても中身が薄くなりがち。
調理も関係します。下茹でや水煮でゆで汁を捨てると、水に溶けやすいカリウムやマグネシウムは流れ出てしまう。せっかくの野菜から、知らないうちに抜けています。
「昔より野菜の栄養価が下がった」という話も耳にします。ただ、これは成分表の測定方法が精密になった影響も大きく、単純には比べられません。確かなのは、実際の摂取量が足りていないこと。国の調査でも、カルシウムや鉄は推奨量に届かない年代がほとんどです。朝を抜いた日、昼は麺類だけの日。こういう食事が続くと、ミネラルはあっという間に底をつきます。野菜を一品増やすより前に、まず欠食と単品づくしを見直したいところです。
その不調、ミネラル不足のサインかも
ミネラル不足は、はっきりした病気の前に、地味な不調として出ます。なんとなく続く違和感こそ見逃せません。
- 鉄が足りないと、からだが重い、息切れ、顔色が悪い、疲れやすい
- カルシウム不足が続くと骨がもろくなり、イライラにもつながる
- マグネシウムが足りないと、足がつる、まぶたがピクピクする、だるい
- 亜鉛が抜けると味がぼやけて、肌や髪も荒れやすくなる
とくに鉄は、女性の多くが慢性的に足りていません。健康長寿ネットによると、鉄が不足すると酸素を運ぶ力が落ち、鉄欠乏性貧血を起こします。私の20代のだるさも、原因はこれでした。女性は月経で毎月鉄を失うぶん、もともと不足しやすい体質。それでも疲れを気合いで乗り切ろうとして、放置してしまう人がほとんどです。健診の数値が基準内でも、貯金にあたる貯蔵鉄が減っていることは珍しくありません。
結局、ミネラルは何でどう取ればいい?
足りないとわかれば、あとは入れるだけ。難しく考えなくて大丈夫です。
コツは、吸収率を意識した組み合わせ。鉄はほうれん草や赤身肉、あさりに多く、ビタミンCと一緒だと吸収が上がります。ほうれん草のソテーにレモンをひと搾り、あさりの酒蒸しにブロッコリーを添える。それだけで吸収率が変わります。難しいレシピはいりません。カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、豆腐から。健康長寿ネットでは成人で1日600〜800mgが目安とされますが、多くの人がここに届いていません。
マグネシウムは玄米や大豆、ナッツに、亜鉛は牡蠣や赤身肉、卵に多く含まれます。どれも特別な食材ではなく、いつもの買い物かごに入るものばかりです。
もうひとつのおすすめは、汁ごと食べること。スープやみそ汁にすれば、溶け出したミネラルもまるごと摂れます。
カリウムや亜鉛まで含めて、どの食材に何が多いかを一通り押さえたいなら、ミネラルは何で取ればいいかを食べ物・飲み物別にまとめた解説が早見表として便利です。食事だけでは難しい日は、青汁のような手軽な一杯で底上げするのもいいですよ。
まず一週間、これだけ試してみる
完璧な献立を目指すと続きません。まずは足し算から。私が家族にやっているのは、このあたりです。
- みそ汁に乾物をひとつかみ。わかめ、煮干し、切り干し大根
- 間食をナッツや小魚に変える
- 白米に雑穀や玄米を少し混ぜる
- 飲み物の一杯を麦茶や青汁に置き換える
どれも数十秒で済みます。特別な食材も道具もいりません。一週間続けると、夕方のだるさがふっと軽くなったと感じる人は多いです。まずは今日のみそ汁から、でいいんです。
まとめ
ミネラル不足は、野菜が足りないからではなく、現代の食べ方のクセで起きます。精製食品、ゆで汁の流出、食事の偏り。心当たりは、たいてい量より中身のほうにあります。それでも対策はシンプルで、汁ごと食べる、吸収の良い組み合わせを選ぶ、乾物を足す。地味ですが、毎日のことだからこそ効いてきます。
完璧じゃなくていい。まず一品、足すところから始めてみてください。だるさをこじらせた私が言うので、そこは間違いありません。
